2022年10月03日
SHOES
スニーカー界の大定番「New Balance(ニューバランス)」を徹底解剖!
その履き心地の良さから、「スニーカー界のロールスロイス」「雲の上のような履き心地」と例えられ、復刻や別注モデル等が発売されると争奪戦が繰り広げられるほどの人気です。
街を歩けば一足は見かけるような、言わずと知れた定番ブランドなだけに、「人気の理由は何なのか…」「種類が多くてどれがいいのか分からない…」など、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで、ぜひ参考にして頂きたいモデルそれぞれの「違い」や、定番人気モデルについて徹底解剖いたします!
ニューバランスの歴史
世界中で愛されるに至るまで
イギリス生まれの実業家ウィリアム・J・ライリーが、1906年アメリカ・ボストンに設立したこの会社は、スニーカーではなくアーチサポートや偏平足を治す矯正靴メーカーとして始まります。
解剖学的な知識や矯正靴メーカーとしてのノウハウを基に、オーダーメイドのランニングシューズの製造をスタート。
1960年に誕生した「トラックスター」は、足の長さだけでなく足囲によってもサイズ選択が可能な世界で始めてのスニーカーとして、大きく知名度を上げていきます。
1972年、従業員6名で1日に36足の生産規模だったニューバランスを起業家ジェームス・S・デービス(現New Balance Athletic Shoe, Inc.の取締役会長)が買収し、現在の体制を築きました。
理想のランニングシューズを実現するため、自ら走りながら開発に従事した彼は、独創的なシューズコンセプト「インステップレーシング」を誕生させます。
その快適な履き心地の良さから、第42代アメリカ大統領ビル・クリントンやスティーブ・ジョブズ、ラルフ・ローレンなど名だたる有名人に愛用されており、現在はランニングシューズとしてだけでなくファッションシーンにも絶大な人気を誇るようになりました。
「製造国」で違いはあるの?
アメリカ製(made in USA)
労働者コストを理由に多くのメーカーがアジアへと製造拠点を移す中、ニューバランスはアメリカ国内でも生産を続けています。
アメリカ国内にいくつかの工場を構えており、本拠地であるボストンの工場には最大規模の大きさと最先端の機材を備えています。
そこには研究開発ができる専用ラボも併設されている為、アメリカで作られるモデルには機能やクッションに最新技術が組み込まれ、厳選された素材、熟練工の技が光る手作業の多い工程によって生み出されています。
アメリカ製の主なモデルには「M1300」や「M990」などがあり、復刻モデルが多いことも特徴的です。
イギリス製(made in ENGLAND)
イギリスでは1982年イングランドに工場を設立し、英国の伝統的な革靴作りのノウハウをスニーカーに落とし込んでいます。
USA製同様手作業の工程が多いですが、元々革靴作りに精通していた職人が手掛けているということもあり、クラフトマンシップが息づく上質なスムースレザーを使ったスニーカーを多く製造しているのも特徴です。
イギリス製の主なモデルには「M1500」や「M576」があり、履きこむ毎に足に馴染むよう設計されている為、その安定感のある履き心地と作りの良さには他では味わえない魅力があります。
アジア製
最も販路が広く、工場で大量生産されている為、3つの生産地の中ではもっとも価格帯が安いのが特徴的。
しかし、安価であったとしてもデザイン性や履き心地が悪いというようなことはなく、高品質低価格を実現しているのがアジア製の魅力です。
多くは中国製やベトナム製ですが、プレミアムな日本製は即完売するほどの人気を誇ります。
「MD1500」や「CM996」等幅広いモデルが存在するため、まずは手の届きやすいアジア製モデルから探してみるのも良いかもしれません。
快適な履き心地に繋がる「ミッドソール」の違いは?
デザインもさることながら、なんといってもその履き心地の良さが魅力的であり、ニューバランスの履き心地を語る上で肝となるパーツが「ミッドソール」。
地面にあたるアウトソールと、足に触れるインソールの間の部分を指しており、ミッドソールの素材によって安定性や反発性、重量など、履き心地の違いが生まれます。
履き心地は個人差があるので、最新モデルが一番では無いというのが面白い所ですね。
素材は主にEVA素材やポリウレタン等の合成素材ですが、各メーカー独自の技術によって履き心地に個性が感じられる部分でもあり、ニューバランスでも過去から現在に至るまで様々なミッドソール技術が開発されています。
C-CAP(シーキャップ)
EVA素材を圧縮させ、耐久性の向上と軽量化を実現させたミッドソール「C-CAP」。
EVA素材だけを使用している為、加水分解に強いといわれています。クッション性があり、履いた時の柔らかさが感じられます。
C-CAPが採用された代表的なモデルは「M576」。他のミッドソールと組み合わせてM1400やM996等に搭載していることもあります。
ENCAP(エンキャップ)
ニューバランスのスニーカーの中でも多く使われているのが「ENCAP」。
衝撃吸収性のあるEVA素材をゴムのように柔らかいポリウレタン素材で包み込んだ構造になっています。
クッション性に優れているだけでなく、安定性も抜群な履き心地。
かつてラルフローレンが”雲の上の履き心地”と例えた「M1300」はこのENCAPを採用しており、M1500やM996などにも使用されています。
しかし、ポリウレタンは加水分解しやすいという弱点もあるため長期の保管にはご注意。
ABZORB(アブゾーブ)
足の着時の衝撃をほぼ100%吸収し、その衝撃を反発に変えてくれるミッドソールが「ABZORB」。
他と比べても非常にクッション性抜群で、前足部やかかと等の負担の大きい一部分にだけ採用されることも多い素材です。
ABZORBが採用された代表的なモデルは「M1700」。
比較すると重量が重いという面もありますが、その卓越した履き心地の良さでコアなファンを唸らせ続けています。
REVLITE(レブライト)
ニューバランスのミットソールの中でも随一の軽さが魅力的な「REVLITE」。
アジア製のモデルに多く使用されていますが、「M2040」のようなフラッグシップモデルや「HANZO」などのレーシングモデルにも採用されています。
とにかく軽く、心地よいクッション性もあるので、一日中履いても疲れを感じさせない履き心地に。
加水分解しにくく、軽量性・耐久性・クッション性の三拍子揃ったミッドソールです。
「モデル名」が表すものとは?
ニューバランスは、コンバースの「オールスター」やナイキの「エアフォース1」のようなモデル名ではなく、「MR993GL」「CM1500RB」といったアルファベットと数字で表された型番がモデル名をまかなっています。
数字が同じなのにアルファベットが違うもの、数字が一桁だけ違うものなど、分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
ですが、実はこの「ナンバリングシステム」の意味が分かると、モデル名だけ見てもどのようなモデルかが分かるようになっています。
アルファベットの意味
アルファベットは、製造国やジャンル、メンズ・レディース等の区別がされています。
<製造国の情報>
・M:Model Nummber=USA製かENGLAND製の正規ライン
・UK:イングランドで企画・製造されたモデル
・J:日本で企画されたモデル
・CM:Classic Model=アジア製で、”M”の廉価版や復刻版など
例)M1500BK、CM996NV2
また、Mはメンズ、Wはレディースを表し、その後に続くアルファベットで用途・モデルが区別されています。
例えば、MWはメンズウォーキングモデル、WRはレディースランニングモデルとなります。
<用途の情報>
・R:Running=ランニングモデル
・W:Walking=ウォーキングモデル
・T:Trail running=トレイルモデル
・O:Outdoor=アウトドア用 など
例)MR530、WW1880B1
末尾のアルファベットはカラーや素材などを表しています。
例えばNVなら”NAVY(ネイビー)”、Gなら”GREEN(グリーン)”となり、Lが含まれていればレザー生地が使用されたモデルとなります。
すべてが色や素材を表しているわけではなく、コラボブランドのアルファベットが入る場合などがあり複雑ですが、意味が分かるとより様々なモデルを知りたくなりますね。
数字の意味
アルファベットの間に入る数字は「種類・形状」を表しており、デザインの違いを知るにはこの数字が重要になります。
様々な種類があり、それぞれに特徴がありますが、「500番台」「900番台」「1000番台」は特に人気となっています。
<オフロードランニング向けの500番台>
1982年に誕生したM555から始まり、砂利や悪路などのオフロードでの走行に対応したスニーカーとして発売されました。
そのため、履き心地に安定感があるのが魅力的です。
中でも1988年に誕生したM576は人気が高く、ヌバック・スエード・メッシュなどの素材やカラーバリエーションも豊富なため、当時のスニーカーブームの到来から今なおファッション性の高いアイテムとして人気を博しています。
<ロードランニング向けの900番台>
900番台のシリーズは1982年誕生のM990から始まり、どんなコーディネートにも合わせやすいことから、ニューバランスの中でも一番人気のシリーズとして君臨しています。
特に人気なのがM996で、すっきりとしたフォルムと軽快な履き心地に仕上げられた、正にニューバランスの『顔』とも呼べる王道のデザインが魅力的です。
迷ったらまずは996を履いてみることで、ニューバランスの魅力が感じられると思います。
<フラッグシプモデルの1000番・2000番台>
時代ごとの最新技術や機能が搭載されており、プレミアム感のあるモデルが揃っています。
復刻モデルが争奪戦必至のM1300など、人気は非常に高く、一度履くと手放せなくなるような魅力が詰まっています。
21世紀からは2000番台に突入。
ニューバランスの技術を最大限活かしたM2040など、高額ではありますがそれに見合うだけの他では味わえない確かな履き心地がお楽しみ頂けます。
定番人気モデル5選!
ここからは、特に人気の高いモデルを5つご紹介いたします!
996
ニューバランスを代表するスタンダードモデルとして、男女問わず高い支持を集めている996シリーズ。
ランニングモデルならではの軽快な履き心地と、定番ラスト「SL-1」を採用した細身のすっきりとしたシルエットで、様々なコーディネートに取り入れやすいのが人気の秘訣です。
また、カラーバリエーションも豊富なので、定番のグレーや白、黒はもちろん、赤やグリーン、ネイビーなど種類豊富な色合いから、好みの一足を選べるのもうれしいポイント。
クラシックさとハイテクを感じる絶妙なデザインが魅力的で、ニューバランスを初めて履く方がまず選んで間違いのないモデルです。
574
574シリーズはラスト「SL-2」を採用し、安定感のある履き心地が求められるオフロードランニングモデルであるため、996と比較すると丸みのあるシルエットに仕上げられています。
トゥ部分が幅広でゆったりとしており、これによってウィズが比較的ゆとりあるつくりであるため、足幅の広い日本人の足型に合いやすいのも特徴的。
また、機能性は他のモデルと比較しても申し分ないクオリティでありながら、比較的手に取りやすいハイコストパフォーマンスモデルとしても支持されています。
1300
1000番台シリーズの初代モデルとして登場し、その履き心地の良さから多くの著名人が愛用したことが、一流スニーカーブランドとしての地位を確立する要因の一つとなっています。
80年代モデルならではのオーセンティックで程よくボリューム感のあるルックスながらも、ハイレベルな安定性とクッション性が特徴的。
5年に一度のペースで復刻されるM1300 JPは、争奪戦が繰り広げられなかなか手に入らないアイテムとなっており、ニューバランスファンでなくとも目が離せない一足として高い人気を誇っています。
2002
フラッグシップモデルとして2010年に登場した2002。
それをベースに「アブゾーブ(ABZORB)」と”エナジー(N ERGY)”を組み合わせたソールユニットを採用し、2020年に復刻された2002Rは昨今高い人気で注目されています。
高性能なソールを配したスポーティで程よくボリューム感のあるフォルムと、通気性の高いメッシュを採用した快適な履き心地が魅力的。
人気ブランドとのコラボモデルや、ヴィンテージ風なディテールで仕上げた「PROTECTION PACK」など、今後も目が離せないモデルの1つです。
990
「1000点満点で990点」と自らがうたったことで大きな話題となった990シリーズは、1982年登場の990V1から現在は990V5まで、5つのバージョンが発売されています。
それぞれNロゴの大きさや採用しているミッドソールなど、時代に合ったデザインや技術の変化がお楽しみ頂けます。
徐々にランニングシューズとしての性能を向上しつつも、すっきりとした雰囲気に。
1足ずつ揃えていきたくなるような魅力があるため、V6以降の発売も楽しみなモデルです。
履かなくなったら高く売る!
ニューバランスのお買い取り
まとめ
いかがでしたでしょうか?人気の秘訣からモデルの違いまで、お分かりいただけましたか?
もちろんこの他にも様々な種類がございますので、お好みの一足を見つけて履いていくと、他のモデルも欲しくなること間違いなしのブランドです。
ご紹介したミッドソールやモデルの違いだけでも履き心地が変わるため、まずは気に入ったデザインや定番のモデルを履いてみること。
そこから他のモデルと履き比べて細かな違いを見ていくと、求めているポイントが見つかり、自分の足にぴったりな究極の一足が見つかるはずです。
長年愛される定番スニーカーブランドだからこその魅力を感じつつ、足元のおしゃれをお楽しみください。