2021年12月19日

SMALL ITEM

意外と知らない? 様々なネクタイの仕立て

最近ネクタイは締めましたか?
仕事で使われる方は、当然のことだと思いますが、社会のルールが少しずつ変わっていく中で、 ネクタイやスーツ、女性ではヒールの着用など、今まで当然とされていたことが、 そうではなくなってきています。 ネクタイもクールビズや多様性の影響を少なからず受けているファッションアイテムの一つ。
しかし、だからこそお洒落になるチャンスかもしれません!!
ネクタイをつけていないと楽ですし、余計なお金もかかりません。でもそこに拘れる、お金を掛けられるって凄いことですよね。
見た目にも気持ちにも、ネクタイを付けることで得られることってあると思います。

今こそネクタイ!

年々ネクタイ需要が低下している中、今ファッション好き達は、かえってネクタイを締める傾向にある様子。
「皆が締めないから俺は締める」という、人とは違うスタイルを求めるおしゃれさん。
「スーツとセットで本来あるべきアイテムだから」という、ファッションを良くわきまえたおしゃれさん。
様々な理由で、ファッション関係者の間でもネクタイに注目が集まっています。ファッションを知らない人と一緒にされたくないという心理が働くのかもしれませんね。

ネクタイも十人十色

ネクタイなんて大差ないと思っている方も多いと思いますが、それは大きな間違いです。
シルク生地と糸だけで成形されたシンプルな造形のネクタイでも様々な仕立て方法があり、それぞれに良い点と悪い点があります。
その中でも、強い特徴を持った3種類をご紹介します。是非ネクタイ選びの参考にしてみてください!

一度は締めてみたい!セッテピエゲ

セッテピエゲ(sette pieghe)とは、ネクタイの縫製方法のことで、イタリア語でsette(7つの)pieghe(折り目)という名前の通り、通常のネクタイとは違い、シルク生地を7つ折りにしてネクタイに仕立てたものです。英語だとセブンフォールド(seven fold)。現在のセッテピエゲの定義はわりとあいまいで、7つ折りじゃなくともセッテピエゲと呼んだり、ブランドによって定義が違ってきているようですね。
セッテピエゲはほとんどが熟練した職人のフルハンドメイドで仕立てられるため、非常に希少性が高いです。普通のネクタイの約2倍の分量の布地が必要ですし、その工程も大変に複雑。ましてや手縫いを必要とするために、いまだにこれの伝統を守って作っているブランドはごくわずか。
セッテピエゲのタイは、Vゾーンのボリュームが増して男性的な立体感が強調され、大人の色気や包容力を感じさせます。また芯地を省き、柔らかなシルク生地を折っただけのセッテピエゲは、ふんわりと軽い極上の締め心地になります。一度つけるとこれしかつけたくないという方もいるこの締め心地については、是非一度お試しいただきたいと思います。巻いた瞬間、気持ちよくて「なるほど~」とにっこりされると思います。
しかし、高価であること、入手が難しい事、アタリがでやすいことなどから、ここぞという日に締める一張羅的な使い方が望ましいのではないでしょうか。

普段使いに最適なトレピエゲ

シルク生地を3つ折りにしたトレピエゲ(tre pieghe)という仕立て、これは誰もが最初に想像する一般的なネクタイの仕立て。中には剣形の芯地が入っていて、この芯地のおかげで型崩れしにくく、結びやすいうえに、結んだ後もきれいな形に仕上がります。どんな人でもきれいに結べ、かっちり感のある雰囲気になるという、多くの日本人からも好まれているネクタイですね。現在主流の型ですが、多くのネクタイブランドがこの仕立てを採用するにはもちろん理由があります。まずは型が決まっているのでネクタイの剣型に形成しやすいこと。ハンドの比率を抑える事で、熟練した職人ならずとも生産ができること、生地のロスを減らし、環境にも優しいことなど理由は多岐にわたります。
味わい深さや玄人感はセッテピエゲが勝りますが、トレピエゲはほとんどが糊付けされた生地を用いるので、きっちりとしたまじめな雰囲気になります。そして耐久性も高いといった利点もあるので、ほとんどの日本のビジネスマンに愛されているのでしょう。

使いやすくお洒落なスフォデラータ

あまり聞きなれないスフォデラータとは、剣先内側部分に裏地を付けず、さらに大剣・小剣先の芯地を抜いた仕立てのネクタイ。トレピエゲに比べ柔らかい表情となり、軽やかなVゾーン、着こなしを演出してくれます。生地が折られた中の部分には毛芯が入っているので、コンフォートながら美しいディンプルを構成し、しっかりとした絞め心地になるのもポイントです。裏地を用いない分、生地によっては透け感が生じ、それが春夏シーズンの軽快なVゾーンを演出することにも。
セッテピエゲ等にみられる味わい深さやハンドメイド感を残しつつ、しっかりとした芯地によってトレピエゲに近い締め心地を表現した、バランス感に富んだ仕立てです。

どれがおすすめ?

ここでは3種類の仕立てをご紹介しましたが、他にも12回折りの超絶仕立てドーディチピエゲや、彫刻刀のような剣先のナイフカット等、同じネクタイであってもスタイルやデザインも様々。
それぞれに良い点・悪い点がありますが、先ずはネクタイをあまり持っていない方や毎日ガンガン締める方はトレピエゲをおすすめします。値段も良心的ですし、耐久性にも秀でている為です。
また、イタリア等のインポートスーツを好み、スーツをファッションの一部としても捉えられる方は、是非スフォデラータをお試しください。軽やかに揺れるネクタイの美しさや、ハンドメイドの味わい深さをお楽しみいただけます。
そして、様々な色柄のネクタイを締めてきたネクタイ上級者は、次はセッテピエゲを締めてほしいと思います。たくさんのネクタイを締めてきた方であれば、その締め心地の良さがすぐにわかるはずです。

ネクタイかくあるべし

いかがでしたでしょうか?昨今興味が失われつつあるネクタイに、俄然興味が湧いてきませんか?スーツとネクタイはセットで用いられるのが、やっぱり最も美しいと思います。ノータイでのコーディネートは、あくまでも例外であって王道ではありません。それは野球の帽子のように、本来そこにあってこそユニフォームとして完成するもの。マナーでもあり、相手に対する敬意でもあります。
ファッションアイテムとしてはもちろん、そういった目線でもネクタイを振り返ってみてはいかがでしょうか?

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